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Yellow Squadron動画投稿10周年によせて

2010年2月18日17:42、「【巡音ルカ】1Pの日々【オリジナル】」と題した動画をニコニコ動画(現niconico)に投稿しました。以降、いくつかのボカロ曲、後に艦これアレンジを中心に据え、20枚のCDを自主出版し、2020年2月18日現在、同人音楽サークルYellow Squadronは10年の節目を迎えました。

……という感じでとても晴々しく謳いましたが、実際は10周年ではありません。

 

前述の曲を公開する以前に(もうグダグダな死に体webサイトこと)MySpaceにおいてチップチューンミュージックを数曲投稿していました。しかしどういう訳か、いくら調べてもアカウント設立日が不明だったため、本来の10周年は誰も知らない所でひっそりと終わりました。

よって、今日を「約10周年」「大概は10周年」「歴史修正主義者的には10周年」などと呼称することにしました。我が中隊の10周年です。どうか信じてください。

もちろん、10周年を祝う細やかなプレゼントもございます。細やかすぎて、今日にピッタリです。

​■1:処女作『Unlimited Guitars』全曲無料公開

2012年12月31日に初参加となる冬コミで頒布した初となる自主出版によるボーカロイドCD『Unlimited Guitars』は、手焼き制作だったため、Yellow Squadronが「もう作り方も材料も印刷方法も忘れて二度と同じのが作れない」という理由で廃盤となりました。

当時800円で頒布し、それ以降は委託店はおろか即売会でも目撃されなかった幻の「YLSQ-0001」を、当サイトで無料視聴及びダウンロード可能にします。

​上メニューのHangerのジャケットから、あるいはこちらから視聴ページに飛べます。

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このCDは概して言いますと、貧弱な機材による悩ましいディストーション・ギターとドラムサウンドによるヘヴィ・メタルにミドリカワ書房を薄めたような歌詞を歌う巡音ルカを載せた楽曲を収録したアルバムです。先日このCDを改めて聴き返しましたが、自分でこんなことを言うのは良くないとは思いますが、あまり良いとは思えません。音楽的な完成度とゆえ氏によるプロレベルのイラストとのギャップがいよいよ青臭さを通り越した怒りや虚しさに近い感情を呼び寄せます。

​そもそも10周年の根拠となる「1Pの日々」も同様ですが(後述)、これを聴いたとき、我ながらこう思いました。

「こんな状態からよく10年もったな」と。

​■2:『From Beyond The Watchtower』全曲無料公開
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2014年5月3日にサークル通算2枚目、艦これアレンジとしては処女作となる『From Beyond The Watchtower(望楼の彼方より)』の在庫数が僅少となりつつあります。再プレスの予定は無いので、全ての曲をインターネット上で視聴可能とします。

全てギターソロのようなギターインスト、80年代回帰願望的なオマージュ、邦題の存在など、以降のYellow Squadronの方向性を良い意味でも悪い意味でも決定付けたCDです。会社に適当な理由で有休を求め、納期当日にマスターディスクをプレス会社へ持参しに行くという、制作スケジュールの杜撰さと言う点でも方向性を決定付けました。

今聞くと特に変わったこともないCDで、初頒布の都産祭では20枚くらいの頒布だったと記憶してますが、虎の穴へ委託に出したら即完売、慌てて再プレスしてメロンブックスにも出したらまた完売、三度プレスしてアキバホビーとあきばお~にも委託して、ようやく売れ残りました。

思い出の一枚です。この当時はまだ、自分がサーフロックやらディスコやらスネークマンショーの真似事やら意味不明なアメリカ民謡アレンジやらすることになるとは夢にも思わなかったでしょう。

​この10年を振り返って、そして今後に関して

……などとサブタイトルを銘打ちましたが、あんまり振り返りたいとも思わないし、今後については考えたくもない。人間そういうものだと思います。一寸先は闇ならまだしも、一寸の過去も思い出せないものです。3日前の晩飯とか覚えてますか?そういうことです。

「暫定10周年記念」の根拠となる楽曲「1Pの日々」に関してはもう聴きたくもないです。嫌な思い出があったとかではありません。単純に完成度が低くて、恥ずかしいからです。大体なんで「1P」って全角で書いてるんだよ。もうそこからして意味が分からねえよ。

何度も消そうと思いました。今でも消したいし、来年には消してるかもしれません。しかし今日まで最初の思い出を消すことはできませんでした。単純に消したら「あら?黄色さん何か嫌なことがあったのかな?」とか変に不安にさせそうだし、変な噂とか流れたら嫌だし。

しかし一方で、残しておくことにも価値があったと思います。

こんなサークルでも10年続けていると色んな出会いがあります。自分のことを尊敬してくれる(奇妙で酔狂な)方々です。高校生の頃の僕にとってのIron Attack!やSouth Of Heavenのような存在になれたかと問われれば非常に微妙なところですが、僕をきっかけに同人音楽のみならず、色んなギタリストにも興味を持つ方々がいらっしゃいました。中には曲作りやギターを始めた方、それらの一つの指針にしてくれた方なども。

そういう方々に何かを尋ねられた時、僕はこう答えるつもりでした。「ニコ動のマイリストの一番下の動画を観てくれ」と。愕然とするでしょう。多分信じられないと思います。どんな人間でも音楽においては成長するものだと、それを証明してくれる出来の悪さです。

そんな心温まる話をなぜこの場で記したかと言うと、「いつか言うカッコいい台詞リスト」にリマインドしてたのですが、悲しいことに10年活動してきて1度も言う機会が無かったのです。

 

しかし、恥ずかしいということを恥ずかしがってはいけないな、と思えるようになりました。昔のものを恥と思えるのは幸せな事です。けど普通に恥ずかしいことなので、来年あたりに古い動画消してそうです。​その時はこの記事のリンクと一緒に「この嘘つきが、何だったんだよこの記事は」とリプライとか送ってくれても結構です。

何はともあれ、10年間は色々とありました。この活動を通して得れたものの多くは形が無い物でした。そして、得れたものよりも失ったものの方が圧倒的に多いです。いつの間にか大概おじさんになり、趣味ですら音楽を続けることもままならない人たちが去っていき、時には消息そのものが分からなくなったり、二度とこの世に戻らなかったり、各々の不条理を享受しつつ緩やかに10年間が過ぎ去った印象を受けます。大した感慨も無ければ感傷も無く、そのこと自体に僅かながら感慨深くかつ感傷的にならざるを得ません。

しかしながら、10年の節目に最初の動画を観て「うわぁ…」となれたことはとても有意義でした。恥ずかしがることを恥ずかしがってはいけません。10年前では考えられませんでしたが、今では堂々と恥じることができます。それこそが、恐ろしく中身がスッカラカンな10年だったように思えて、意外とそうではない10年だったということの証左です。

末筆ながら、この10年における1年でも、1日でも、ある一瞬においてでも、支えてくれたあらゆる方々にお礼申し上げるとともに、私の10年の月日は、奏者としての矜持を確かに持ち怒涛の人生を駆け抜けた敬愛するギタリストS氏と共にあったことをここに記します。

2020年2月18日 自宅にて Yellow Squadron

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